ちょーさんメモ出張版 気まぐれブログ

ちょーさん(@cho_san111000)のブログです。数学やその他のことを書きます。更新頻度はちょーさんの気分次第です。

マイヤーヴィートリスを証明してみた件

ちょっと前に専門の関係でマイヤーヴィートリスの完全列について勉強してたときにその証明をまとめたものをせっかくなので上げておきます。ここでは多様体上のマイヤーヴィートリスについてです。

drive.google.com

微分形式の計算とかコホモロジーの計算とかはフルに仮定してます。逆に蛇の補題とかホモロジー代数は仮定しません(自分もなんも知らんので)。

その辺もまた勉強しなければ…

プランクトンサミットin大阪に参加しました

あけましておめでとうございます。ちょーさんです。

去る令和元年の末に大阪で開催されたプランクトンサミットという謎の集会に参加させていただきました。

 

プランクトンサミットはアルファツイッタラーヴァネロピさん(@Vane11ope)主催のとりあえず色んな分野・目的をもったTwitterの人たちが集まる会で、主催者様曰く「集まって精進する」会合です。自分は数学界隈所属ということで完全にオフ会のつもりで参加させていただき、ついでにせっかくなので最近少し勉強した双対リー代数の話をさせてもらいました。

双対Lie代数について

 プラサミでこれ話して誰が聞くんだとも思いましたが数人聞いてくれたのでよかったです。

プラサミに参加するのは2回目でしたが今回も楽しかったです。主催者様、参加者各位、他お世話になった方々もありがとうございました。

 

講演のお知らせ

今度の9月21日に立命館大学びわこくさつキャンパスで立命館大学自然科学ゼミ団体Remakersによる特別講演会が開かれます。団体創設者の方々による凱旋講演会です。

 

こちらの講演会の自由発表時間に僕も少しお話をさせていただくことになりました。最近まで勉強していたホッジ分解定理について話そうと思います。仮定知識は多様体論、ホモロジー論、関数解析です。興味ある方は聞きにきてもらえると嬉しいです。

聞きにくる方は次のpdfを予習に読んでおくといいかもしれません。

drive.google.com

よろしくお願いします。

一様空間論

前からずっとほのめかしていた一様空間のpdfが完成しました。おまたせしました。

 

uniformspace.pdf - Google ドライブ

 

なので今回は一様空間の話を少ししようと思います。詳しいことはpdfを読んでもらうとしてここではざっくりと一様空間の重要な概念について述べます。

今回のpdfでポイントとしたのは次の3つです。

 pdfの順番に沿って一つずつ見ていきます。

ハウスドルフ化

一様空間はハウスドルフ化することができます。位相空間論に詳しい人は位相空間におけるコルモゴロフ商のハウスドルフ版だと思ってもらえればよいです。あるいは圏論に詳しい人は一様空間のなす圏においてハウスドルフ一様空間のなす部分圏からの包含関手が左随伴をもつのだと理解してください。

どっちも知らない人向けに説明をすると,つまりは任意の一様空間はある自然な方法でハウスドルフ一様空間にできるということです。自然な方法とは具体的には一様構造で識別できないような点同士は同一視しちゃえ!という同値関係で割るという方法です。このとき得られる一様空間はもとの一様空間に対して然るべき普遍性を持っていることがわかります。

完備性・完備化

これは一様空間の旨みという感じの概念ですね。位相空間を勉強したときに距離空間には完備性という性質があるがこれは位相的性質ではないというようなことを勉強した人も多いかもしれませんが,完備性は実は一様空間のカテゴリーで定義できます。そして一様空間に対しても完備化をすることができます。ただし一般の一様空間の完備化については少々面倒な問題があって,結果だけを述べると任意の一様空間は自然な方法で完備ハウスドルフ空間にすることができます。ハウスドルフ性まで課すことでうまい完備化が一意に存在することがわかり普遍性も満たしてくれます。

あるいはこれも圏論に詳しい人向けには完備ハウスドルフ一様空間の圏から一様空間の圏への包含関手が左随伴をもつことをいっています。

距離空間の完備化のときにはコーシー列を集めてきて距離が0みたいな同値関係で割ったのですが一様空間のハウスドルフ完備化ではコーシー列の代わりにコーシーフィルターを集めてハウスドルフ化します。距離空間の完備化で\lim_{n\to\infty}d(x_n,y_n)=0という同値関係で割っていたのはハウスドルフ化をしていたんですね。

コンパクト性

一様空間のコンパクト性についてもpdfの最後に書きました。といってもこれは距離空間のときの結果を一様空間に持ち上げただけですね。先に完備性が一様空間のカテゴリーで定義できると言いましたが同じく全有界という概念も一様空間で定義できます。そのため距離空間において成り立ったコンパクト⇔完備全有界という定理が一様空間でも成り立ちます。

pdfではフィルターを使って全有界一様空間の性質を粗方調べてからこの定理を示しましたが距離空間のときと同じようにネットを使って点列コンパクトっぽい形で示すこともできるんですかね。

双対性について

先月某日に立命京大合同セミナーに参加させていただき、Gelfand-Naimark双対性の話をしてきました。

前のRemakers合宿ではStone双対性にも触れまして色んな双対性をやる人みたいになってきたので双対性について思うところを書きます。

 

 

Stone双対性

完全不連結コンパクトハウスドルフな位相空間をStone空間といいます。Stone双対性はStone空間とブール代数の間の双対性です。

Stone空間の圏をStoneブール代数の圏をBoolと(今回は)書くことにします。このときStoneBoolの間に圏同値を与える反変関手が存在します。

Stone→Bool

反変関手clop\colon Stone \to BoolはStone空間Xに対してその開かつ閉集合全体の集合clop(X)を対応させる関手です。

arrowの対応は連続写像f \colon X \to Yに対してその引き戻しの写像clop(f) \colon clop(Y) \to clop(X)とします。

Bool→Stone

反変関手Spec \colon Bool \to Stoneブール代数Bに対してブール準同型B \to 2全体の集合をSpec(B)として返します。ここで2は集合2=\{0,1\}のことでこれは自然にブール代数となります。Spec(B)にはある方法で位相が入ってStone空間になります。

arrowの対応はブール準同型f \colon A \to Bに対してv \mapsto v\circ fという写像Spec(f) \colon Spec(B) \to Spec(A)を返します。

 

これらの反変関手clop,Specが実は圏同値を与えていることが確認できてStone空間とブール代数の双対性がわかります。

 

Gelfand-Naimark双対性

Gelfand-Naimark双対性はコンパクトハウスドルフ空間と単位的可換C*環の双対性です。Stone双対性のときと同様に考えるためコンパクトハウスドルフ空間の圏をCptHff,単位的可換C*環の圏をucC^\astと書くこととします。ただしucC^\astの射は単位元を保つ*-準同型です。

CpfHff→ucC*

反変関手C \colon CptHff \to ucC^\astはコンパクトハウスドルフ空間Xにそこ上の複素数値連続関数全体の集合C(X)を対応させます。

連続写像f \colon X\to YにはY上の関数をfX上に引き戻す写像C(f) \colon C(Y) \to C(X)を対応させます。

ucC*→CptHff

単位的可換C*環Aに対して0でない準同型A\to\mathbb{C}Aの指標といいます。反変関手\Omega\colon ucC^\ast\to CptHffは単位的可換C*環Aにその指標全体の集合\Omega(A)を対応させます。\Omega(A)にはweak *-topologyを入れてコンパクトハウスドルフ空間とみなします。

単位元を保つ*-準同型\phi\colon A\to Bについては\tau\mapsto\tau\circ\phiという指標の引き戻し写像\Omega(\phi)\colon\Omega(B)\to\Omega(A)が対応します。

 

これらの反変関手C,\Omegaがやはり実は圏同値を与えていることが確認でき,コンパクトハウスドルフ空間と単位的可換C*環の双対性がわかります。

 

考察

さて,ここまでStone双対性とGelfand-Naimark双対性の大雑把な流れを見てきました。どちらも2つの圏の間に反変関手が生えて圏同値を与えるという主張になっています。これらの双対性についてもう少し考察してみましょう。

Stone双対性再考

反変関手Spec \colon Bool \to Stoneはブール準同型B \to 2全体の集合をとる関手でした。これは圏論の言葉を使えばSpec=Hom_{Bool}(-,2)と書けます。

反変関手clop\colon Stone \to Boolは開かつ閉集合全体の集合をとる関手ですが位相空間Xの開かつ閉集合Uは離散位相空間2への連続写像f\colon X\to2U=f^{-1}(0)により一対一に対応します。すると開かつ閉集合全体の集合clop(X)連続写像全体の集合Hom_{Stone}(X,2)と同一視できてclop=Hom_{Stone}(-,2)と見なせます。

まとめるとSpec=Hom_{Bool}(-,2)clop=Hom_{Stone}(-,2)となり2つの反変関手はどちらもHom関手になっています。

Gelfand-Naimark双対性再考

同様の考察をすると反変関手C \colon CptHff \to ucC^\astC=Hom_{Top}(-,\mathbb{C})となっていることがわかります。\mathbb{C}はコンパクトではないのでHomを考えるカテゴリーが位相空間の圏Topになっています。

また単位的可換C*環における指標の定義は0でない準同型ですがこれから指標は単位元を保つ*-準同型であることがわかります。よって指標とはucC^\astのarrowのことで\Omega=Hom_{ucC^\ast}(-,\mathbb{C})と書けます。

まとめるとC=Hom_{Top}(-,\mathbb{C})\Omega=Hom_{ucC^\ast}(-,\mathbb{C})となりやはり2つの反変関手は(考える圏の違いはあるものの)Hom関手になっています。

双対性について

以上の再考からStone双対性・Gelfand-Naimark双対性の例では適当な対象におけるHom関手が反変圏同値を与えていることがわかります。Stone双対では2ブール代数とも位相空間とも見てそれぞれの見方でHom関手を考え,Gelfand-Naimark双対では\mathbb{C}位相空間やC*環とみてそれぞれHom関手を考えました。

さらに今回は詳しくは説明しませんでしたがブール代数Bに対するSpec(B)の位相や単位的可換C*環Aに対する\Omega(A)の位相はどちらもスペクトルのザリスキ位相に関係します。可換環論やらねば…

対してclop(X)=Hom_{Stone}(X,2)C(X)=Hom_{Top}(X,\mathbb{C})の演算は点ごとに定義することで得られます。clop(X)については集合演算なので少々非自明ですがU=f^{-1}(0)という同一視に従って計算すれば確認できます。

以上のようにStone双対とGelfand-Naimark双対にはいくらかの類似性がみられます。これをうまく一般化できたりするんですかね?うまい対象をとってそこへのHomsetにいい感じの構造が入れば圏同値が見えるみたいな…?米田の補題なんかも圏の圏でSetへのHomsetを考えるという意味では近い話な気がしてますが… でも反変関手CだけHomをとる圏がずれてるのが気になりますね。

なんにせよHom関手とかザリスキ位相とかkernelとかpointwise演算とかそのあたりが双対性では重要なキーワードになるのかもしれません。

第2回数研合宿に参加しました

3/26,27日に開催された立命館大学数学研究会主催の合宿に参加させていただきました。今回はリレーセミナーと特別講演がありました。以下その感想です。

 

リレーセミナー

可換代数班と集合と位相班の2つの班でリレーセミナーがありました。実態は可換環論班と集合論班でした。自分は可換環論班の方を主に覗かせてもらいましたがなかなか楽しかったです。アティマク読みたい。

 

特別講演

特別講演が4つありました。内容はそれぞれリー群リー環グラフ理論線形代数、単調劣モジュラ関数最適化問題でした。自分も講演をして線形代数の話をしました。どれも面白かったです。

リー群リー環の話は実質圏論でした。位相群やリー群が位相空間の圏や可微分多様体の圏の群対象として定義できるというのは面白い見方でした。

グラフ理論は彩色の話でした。最近グラフ理論の話を聞くことが多い気がする…情報数学が広まってるんですかね。

僕の線形代数の講演は線形代数がどのような場所で使われるのかという話をしました。線形代数めっちゃ大事なので頑張りましょうね。

最後は単調劣モジュラ関数最適化問題という情報数理の話でした。名前はゴツいですがつまりある集合関数の最適化アルゴリズムのことですね。情報の人も大変だなぁと思いました。

 

夜ゼミ

今回の数研合宿では夜ゼミの時間がありました。そこでこの前やっと証明を追えたストーン双対性の話をしました。

ストーン双対性はブール代数の圏と完全不連結コンパクトハウスドルフ空間の圏が反変圏同値になるという定理で、発表では位相空間論の基本的な定義を確認してからブール代数の定義、素イデアル定理を証明してストーン表現定理という流れで話しました。自分の復習にもなって楽しかったです。

 

感想

今回も楽しい合宿でした。なんだかんだ集って数学するのが自分は好きなんだなぁと思いました。立命館大学数学研究会には今後も頑張っていただきたいです。ありがとうございました。

 

Remakers第7回合宿に参加しました

Remakers合宿に参加してきました。この合宿に参加するのも今回でラストですかね。

 

リレーセミナー

連続群論班でした。前も位相群やってたな。でも今回はリー群の話のとくに具体例を中心にやりました。テキストは山内杉浦の連続群論入門です。表現論わからん…

最後に卒研でやってた猫の宙返りの話とかもできて楽しかったです。

 

特別講演

今回は4つの特別講演がありました。諸事情により1つは聞けなかったのですがどれも面白かったです。

素朴集合論改め圏論の話では極限の例みたいなのに触れてました。圏論難しい。

Capture the Flagの話はこんなのもあるんだなと思いました。情報系の人もちゃんと群論とか楕円曲線とか数学を使うんですね。

ぐらふりろんの話も情報系に近い数学の話でした。理論的には簡単な話でも実際に実装するのは難しいということはよくあるようです。行列木定理普通にすごいと思った。

 

夜ゼミ

夜ゼミでド・ラームの定理について話しました。無茶な構成で時間をオーバーしてしまって申し訳ないです。

ド・ラーム理論は自分で勉強していてホモロジー論、多様体論、ベクトル解析、圏論などが綺麗に繋がっていくのが非常に楽しいなと思いました。ただ今回の合宿ではそのあたりの知識を仮定できなかったので頑張ってそこから説明しました。疲れました。

 

まとめ

今回の合宿もとても楽しかったです。この合宿に参加するのは今回で最後になりそうですがこれからも様子を見守っていきたいです(?)。

Remakersの皆様、ありがとうございました。